日本臨床プロテオゲノミクス学会 会則
(Japan Society of Clinical Proteogenomics)
前文
ゲノムからの産物であるプロテオームは、生命活動をつかさどり、機能を有する分子機械として発現された蛋白質分子の総体である。従って、生理機能のみならず疾患における病態生理の解明にもプロテオーム解析は欠くことのできない解析手段であろうとの認識は近年広く受け入れられるに至り、臨床医学各分野からも急速にプロテオミクスに対する関心が高まっている。その背景にはヒトゲノム配列の解析が終了し、ゲノム情報に基づくバイオインフォマティクスの学問としての発展と蛋白質解析技術の飛躍的進歩があることは言うまでもない。また、癌は分子遺伝学的異常の結果である。最近、癌細胞における特定の変異が、そのがん化開始および早期進行にとって不可欠と考えられるようになった。特に重要な癌遺伝子は、転写活性化因子の融合産物であり、その遺伝子産物は、新規の遺伝子活性化能力を有する発癌性キメラ蛋白質であるといわれている。癌の進化的異種性は、重要な癌遺伝子によって開始される癌細胞の新しい変異状態に起因すると考えられている。遺伝子変異、融合遺伝子の産物は、これまでのカノニカルなタンパク質発現を主な対象としていたプロテオミクスから大きく変貌を余儀なくされている。染色体レベルでの遺伝子転座を含めた遺伝子とその産物である新規機能を獲得した変異及び融合蛋白質を研究することがたいへん重要となってきており、個別化医療を実現するには不可欠である。
ヒト疾患病態の分子レベルでの完全な理解とそれを応用した早期診断・既存に対する薬剤効果予測・副作用予測、および予後予測などをめざす疾患関連バイオマーカーの探索、さらには新しい分子標的治療の開発を目指した創薬とも関連して、個別化治療を念頭に置いたトランスレーショナルリサーチとしてプロテオーム及びゲノム解析の融合分野(臨床プロテオゲノミクス)は最も適切かつ効果的な手法であろうと期待されている。
本会はプロテオーム研究が臨床応用に供される機会が頻繁になった現在、臨床家が求めているプロテオーム解析から生まれるoutputとは何かを明らかにし、それを実現させるために解析機器関連の技術者・基礎医学者・臨床家が一同に会し、議論を深めることで臨床応用への過程がより効率的・相乗的なものになることを期待し、発足が提案された。
本会の最終目標はすべての領域の疾患の病態をプロテオゲノミクスの視点から分子レベルで解明し、その早期発見に代表される診断バイオマーカーの探索と分子標的治療ひいては個別化医療の実現によって国民の福祉に貢献することにあり、以下の会則に則りその当初の目的を達成すべく活動するものである。
第1章 総則
第1条 名称 本会は、日本臨床プロテオゲノミクス学会(Japan Society of Clinical Proteogenomics) という。
第2条 本会は事務局を東京都中央区築地5-1-1国立がん研究センター研究所希少がん研究分野内におく。
第2章 設立目的
第3条 本会はヒトプロテオーム及びゲノミクス解析を基盤としたトランスレーショナルリサーチにより臨床医学への応用・新規医療技術の開発を通じ、臨床医学の増進ならびに学術文化の発展と国民の福祉に寄与することを目的とする。
第4条 本会は前条の目的を達成するために、次の事業を行う。
1.プロテオミクス及びゲノミクス技術を基盤とするトランスレーショナルリサーチに関する研究・調査および報告(研究発表会および学術講演会の開催)ならびに啓発事業
2.臨床プロテオミクス及びゲノミクスに関する情報提供ならびに教育普及活動
3.国内外の関係学術団体との連絡・提携および調整
4.科学技術とくにプロテオーム及びゲノムの融合解析関連技術の振興・普及
5.その他、前条の目的を達成するために必要な事業
第3章 会員
第5条 1.正会員 本会の会員は医師および医学研究者・プロテオーム及びゲノム関連技術研究者・バイオインフォマティクス研究者であって、本会の目的に賛同し、寄与するものでなければならない。
2.賛助会員 この会の目的に賛同し、賛助する個人および団体
3.学生会員 プロテオミクス及びゲノミクスに関心を持つ大学生および大学院生
第6条 会員の入会に関しては前条の規定を満たすものであれば、正当な理由がない限り入会を認める。また会長は入会を認められない正当な理由が認められた場合、速やかに理由を付した書面をもって本人に通知する。
第7条 年会費 会員の年会費
会員の年会費は正会員5,000円、賛助会員(一口)(団体)100,000円、学生会員2,000円とする。尚、団体会員については1団体につき、5名に個人会員と同等の権利を与えることとする。
第4章 役員
第8条 本会は次の役員をおく。
1.会長 1名
2.副会長 1名
3.理事 15~25名 (うち会長1名、副会長1名、代表理事1名を含む)
4. 代表理事 1名
5.監事 2名
第9条 役員の選任 役員は次の規定により選任する。
1.理事・監事は会員より選出し、総会にて選任する。
2.代表理事は理事より理事会で選任し、総会に報告する
3.会長・次期会長は理事会で選任し、総会に報告する。
4.次期会長を副会長とする。
第10条 役員の職務
1.会長は本学会の業務を総括し、本学会を代表する。
2.副会長は会長を補佐し、会長がその任務に当たれない事態が生じた時にはその職務を代行する。
3.理事は理事会を組織し、本会の運営に関する事項を決議し、執行する。
4.代表理事は理事会の運営、事務局の運営を統括する。
5.監事は本研究会の業務、資産および会計の状況を監査する。
第11条 役員の任期
1.会長および副会長の任期は1年とし、定期学術集会終了の翌日から次期学術集会終了の日までとする。
2.会長・副会長以外の理事・監事・代表理事の任期は2年とし、定期学術集会終了の翌日から次々期学術集会終了の日までとする。但し、再任を妨げない。
3.役員はその任期が満了しても後任役員が就任するまでその職務を継続する。
第12条 事務局長および職員
本研究会の運営に関し事務を処理するために、事務局長および職員をおく。事務局長は会長が任免し、会務を分掌する
第13条 名誉会長・名誉会員
1.会長経験者および臨床プロテオーム及びゲノムの研究・本会の発展に多大なる寄与をした者(65歳以上)の中から,会長が理事会および総会の議を経て決定する。
第14条 顧問
1.臨床プロテオーム及びゲノムの研究に多大な貢献をし、本会の発展に寄与することと思われる者を、会長が理事会および総会の議を経て決定する。
第5章 会議および委員会
第15条 本会には次の会議をおく。
1.理事会
2.総会
第16条 理事会はつぎの規定にしたがって行う。
1.理事会は年1回代表理事が招集する。但し、代表理事が必要と認めたとき、理事の3分の1以上から会議の目的事項を示し理事会の招集の請求があったときは臨時理事会を招集しなければならない。
2.理事会の議長は代表理事が務める。
3.理事会は理事現在数の3分の2以上をもって成立する。但し、委任状を持ってこれに変えることが出来る。
4.監事は理事会に出席し、意見を述べることが出来る。
第17条 総会 総会は次の規定にしたがっておこなう。
1.総会は正会員・特別会員をもって構成する。
2.定期総会は年1回会長が招集する。
3.定期総会の議長は会長が務める。
4.次期学術集会および総会の開催地および開催時期は、理事会の議を経て定期総会の承認を受ける。
5.次に掲げる事項は定期総会の承認を受ける。
① 事業計画および収支予算・決算に関する事項
② その他、理事会が必要と認めた事項
第18条 総会の議事録 総会の議事録は議長が作成し、議長および出席者の代表が署名し、これを保存する。
第19条 委員会 本会はその事業の円滑な実施のために委員会をおくことが出来る。委員会の設置・解散は理事会の議決により、委員長および委員の嘱託は理事会の議を経て会長が行う。
1.本会に運営委員会をおく
2. 本会に選奨委員会をおく
第6章 学術集会
第20条 会長は年1回定期学術集会(学会)を開催する。その他に必要に応じ臨時の学会を開催することが出来る。
第7章 資産および会計
第21条 本会の資産は①年会費 ②事業に伴う収入 ③資産から生じる果実 ④寄付金 ⑤その他である。
第22条 本会の事業計画およびこれに伴う収支予算は年度開始前に会長が編成し、理事会の議決を経て、総会の承認を受ける。
第23条 本会の収支決算は会計年度終了後に会長が作成し、監事の監査を受け、事業報告書とともに理事会、総会の承認を受けなければならない。
第24条 本会の会計年度は毎年1月1日に始まり、12月31日に終わる。
第8章 会則の変更
第25条 会則の変更は理事会の3分の2以上の議決を経て、かつ総会の承認を受けなければ変更は出来ない。
第26条 解散 本会は理事会・総会においておのおの4分の3以上の議決を経なければ解散することは出来ない。
第27条 補則
本会の規則を施行するために必要な細則は、理事会および総会の議決を 経て、別に定める。
附則
1.この会則は平成17年10月15日から施行する。
2.この会則は平成20年5月10日改訂、同日から施行する。
3.この会則は平成29年5月13日改訂、同日から施行する。
4.この会則は平成30年5月12日改訂、同日から施行する。
5. この会則は令和3年5月29日改訂、同日から施行する。
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